脊振山系は私たちが生きるうえで必要なものをたくさんもたらしてくれています。今までも、これからも、ずっと。


公開質問状への回答



7月10日、福岡県知事・福岡県議会議長に公開質問状を提出しましたが、
7月24日、その回答がありました。

これを踏まえてさらに質問を重ねていく予定です。
皆さんも疑問に思われる部分をぜひ尋ねてみてください。


-----------------------------------


公開質問に対する回答


(前文)
 ILC計画は、現在、研究者の方々が、ILCの加速器やトンネル建設の標準的な技術設計書を完成した段階であり、運営組織や建設、運用等については、今後、ILCの国際研究組織や政府機関等で協議が行われ、合意形成されていく見込みです。
 このため、今回の回答は、今年6月に研究者が発表した技術設計書、その作成に直接携わったILC国際共同設計チームの研究者等からの聴取結果及びこれまでの地域における調査検討内容等に基づき、作成しています。


    【廃棄物について】

  1. ILCの稼働中に発生すると見込まれる廃棄物とそれぞれの年間発生量を教えてください。
    (・一般廃棄物・産業廃棄物・特別管理産業廃棄物・特定有害産業廃棄物・放射性廃棄物・その他)

  2. ILC(国際リニアコライダー:International Linear Collider)は、地上から約100mの地下に全長約30kmの直線状の加速器をつくり、現在達成し得る最高エネルギーで電子と陽電子の衝突実験を行う実験施設です。宇宙初期に迫る高エネルギーの反応を作り出すことによって、宇宙創成の謎、時間と空間の謎、質量の謎に迫ります。
    国際研究・実験施設のILCで発生する主な廃棄物の種類は、研究の事務等により発生する一般廃棄物と機器の維持・保守等により発生する産業廃棄物です。
    ILCの実験施設のうち、地下トンネルの一部(加速器トンネル及び測定器実験室)は、加速器の運転中は電子線の加速に伴いX線等の放射線が放出され、これらが周囲の物質を放射化させるため、「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」に基づき、放射線管理区域として厳しく管理されます。この放射線管理区域内で、維持・保守作業等の際に使用した作業服やウエス(潤滑油等拭き取り用の紙等)、交換した排気フィルタ等は放射性廃棄物として処理されることになります。
    特別管理産業廃棄物及び特定有害産業廃棄物については、現時点では想定されていません。
    ILCの詳細な設計がなされ、今後より具体的な検討が進む中で、それぞれの廃棄物の年間発生量が明らかになる見込みです。

  3. 放射性廃棄物が発生する場合は内訳としてその核種と量および処分方法を教えてください。

  4. 放射線管理区域内で作業した際の作業服、ウエス等に付着する核種は、コバルト60が主なものとなります。発生量は、回答1のとおり、現時点では未定です。
    これらの廃棄物の処分は、日本アイソトープ協会へ依頼します。

  5. 比較のためにCERNのLHCにおける廃棄物の種類とそれぞれの年間発生量を教えてください。

  6. CERNのLHCで発生する廃棄物の種類、それぞれの廃棄物の年間発生量は、公表されておりません。

  7. 比較のために東海村のJ−PARCにおける同内容を教えてください。

  8. J-PARCの加速器は、内部構造を持つ比較的質量の大きな複合粒子である陽子を金属に衝突させます。衝突させるもの同士が、比較的大きな質量を持つと、その衝突によって金属の中には原子核の同位体が生成され、その中には多くの放射性同位体(放射性物質)も含みます。
    一方、ILCで衝突させるのは、内部構造を持たない素粒子である電子と陽電子です。どちらも非常に単純な素粒子であるため、衝突後、質量の大きな原子核同位体は作られません。
    これらの違いから、J-PARCとILCを単純に比較することは適当ではありません。
    J-PARCで発生する主な廃棄物の種類は、「回答」と同様一般廃棄物と産業廃棄物ですが、それぞれの年間発生量は、公表されておりません。
    また、放射線管理区域内で作業した際の作業服等が放射性廃棄物として処理されます。放射性廃棄物の管理データはホームページ上の「J-PARC放射線管理年報(2011年度)」で公表されています。

  9. 廃棄物処分を引き受けるのはどの自治体ですか。それはどのようにして決定されますか。

  10. 一般廃棄物及び産業廃棄物の処分については、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により、事業者が、自らの責任において適正に処理することが原則です。
    ただし、一般廃棄物の場合は、事業所が所在する市町村と協議して、当該市町村で処理することもできます。
    現時点では、事業主体や事業所の所在地が決まっていないため、具体的な自治体は未定です。
    なお、放射性廃棄物の処分は、回答2のとおり、事業者が日本アイソトープ協会へ依頼します。


    【水について】

  11. ILCの建設、稼働、撤去を通じて、年間の水使用量とその水源計画(上水か地下水か)を教えてください。

  12. 年間の水使用量とその水源計画は、今後、ILCの詳細な設計がなされ、より具体的な検討が進む中で、明らかになります。

  13. 比較のためにCERNのLHCにおける年間水使用量を教えてください。

  14. CERNのLHCにおける年間水使用量は、ホームページ上の「2012 CERN Water Consumption」で公表されています。

  15. 比較のためにJ−PARCにおける同内容を教えてください。

  16. J-PARCにおける年間水使用量は、公表されておりません。

  17. ILC建設予定地にかかる地下水の貯留量を教えてください。また、ILCの建設、稼働、撤去によって貯留量および水質にどのような影響が出ると予測されるか、根拠をあげて教えてください。

  18. 脊振地域に限らず、地下水の貯留量を求めることは困難です。
    地下水は地表から地下約2000mまでに存在するとされていますが、その深さが場所によって異なることや分布に幅があることから、定量的には求められません。
    ILC施設は、水が通りにくい固い花崗岩の地下深部に建設されるので、地表あるいは浅い地下の水循環に及ぼす影響は少ないと考えられています。
    なお、地下600mに大空洞を有する近隣の天山地下発電所は、地下水の湧水も少なく、周辺や地表の地下水系、水質には影響を与えていません。


    【下水について】

  19. ILCの建設、稼働、撤去を通じて、年間の下水道使用量を教えてください。また、下水道以外の排水方法がある場合はその方法を教えてください。

  20. 下水道使用の有無や使用量は、今後、ILCの詳細な設計がなされ、より具体的な検討が進む中で、明らかになります。

  21. 比較のためにCERNにおける同内容を教えてください。

  22. CERNのLHCで発生する年間下水道使用量及び排水量は、公表されておりません。

  23. 比較のためにJ−PARCにおける同内容を教えてください。

  24. J-PARCで発生する年間下水道使用量及び排水量は、公表されておりません。


    【送電線について】

  25. ILCに電力を供給するための送電線はどこからどのように新設されますか。また、その電圧規模と全長を教えてください。

  26. 送電線の新設等は、今後、ILCの詳細な設計がなされ、より具体的な検討が進む中で、明らかになります。
    なお、ILCの技術設計書に記載されたILCの運転に必要な電力16万3千kwから推定すると、送電線の電圧規模は22万Vと見込まれます。


    【撤去について】

  27. ILCでの実験終了後、施設撤去の責任を有する主体を教えてください。

  28. 撤去の有無は、今後、ILCの詳細な設計がなされ、より具体的な検討が進む中で、明らかになります。

  29. 撤去費用とその負担割合を教えてください。

  30. 回答14に同じ。


    【排気装置について】

  31. 今年5月、J−PARCで放射性物質の漏えいが問題になりました。ILCで放射性物質もしくは有毒物質が外界に漏れる可能性のある排気(排水)装置はありますか。

  32. J-PARCの放射性物質漏洩事故は、陽子線を標的の金属(金)に誤って多量に放射したため、金が蒸発し、そのとき発生した放射性同位体(放射性物質)が飛散したもので、これに警報を停止した上で実験を再開したり、フィルタがない排気ファンを回したりという人為的なミスが重なって起こったものです。
    ILC加速器で使用されるのは、電子・陽電子のみです。これらはどちらも素粒子であり、衝突後は、J-PARCのような放射性同位体は作られません。(回答4参照)
    また、技術設計書では、放射線管理区域からの排気については、排気装置を設置して行われ、排気モニターやフィルタの設置、管理区域の一部は低圧状態にするなど、放射性物質の漏洩には十分な対策が採られることになっています。
    さらに、放射化される可能性がある冷却水は、管理区域内を循環させるので、区域外へ漏洩する恐れはありません。

  33. 上記装置がある場合はその個数と地上口の所在地(設計上の候補地)を教えてください。

  34. 排気装置の個数と地上口の所在地は、今後、ILCの詳細な設計がなされ、より具体的な検討が進む中で、明らかになります。


    【放射性物質について】

  35. ILCで使用が想定されている放射性物質の核種と用途および入手先を教えてください。

  36. 安全対策のために設置する放射線環境モニターや放射線測定器などの動作を定期的に確認するため、放射線源として微量の放射性物質源(密封)を使用する場合があります。
    その核種は、カリフォルニウム、セシウム、コバルト等で、入手先は日本アイソトープ協会です。
    なお、ILC加速器本体では、電子・陽電子のみが使用され、放射性物質は使用しません。


    【南海トラフ地震について】

  37. 発生可能性の高さが指摘されている南海トラフ地震について県および近県の広域防災対策が十分に整備徹底されていない現状を踏まえ、海外から研究者とその家族などが多数移住してきた場合に対策すべき防災上のリスクをすべて挙げてください。

  38. 国による南海トラフ地震の災害想定によると、本県内では最大震度5強の地震動と最大沿岸水位4mの津波が発生するとされています。
    このうち、津波の影響は、北九州市及び京築地域のみで、脊振地域への影響はありません。
    外国人研究者の多くが居住すると見込まれる福岡都市圏では、最大震度5弱の揺れが発生するとされています。
    リスクとしての被害想定は、県内全域で死者10人、建物の全壊340棟、上水道の断水3,200人、下水道の支障3,400人、停電500軒、道路被害190箇所、避難者3,200人などとされています。

  39. 上記防災上のリスクに対応して、各自治体および行政区に求められる負担を教えてください。

  40. 本県では、東日本大震災を踏まえ、昨年5月、最新の知見に基づき、警固断層、西山断層、水縄断層、小倉東断層の4つの主要活断層の災害想定、被害想定を見直した上で、地域防災計画を改定しました。
    本県の被害想定は、南海トラフ地震の地震動や被害想定を大きく上回っており、この地域防災計画に基づき、ハード・ソフト両面にわたる防災対策に取り組むこととしています。
    特に、海外からの研究者とその家族の災害時の安全を確保するため、県及び市町村は、外国語版防災ハンドブックなどによる防災知識の普及、英語版防災メール・まもるくんへの登録促進、通訳ボランティアの確保などに努めることとしています。


    【経済波及効果について】

  41. 見込まれている経済波及効果の金額と内訳および試算方法と主要なパラメータの値を教えてください。

  42. 「サイエンスフロンティア九州構想」で算定した経済波及効果や算定方法は、次のサイトで公開しております。(http://www.ILC-asia-kyushu.org/資-料、本編の ページ及び資料編の37ページから44ページ)


    【建設許認可のプロセスについて】

  43. ILC建設を許認可する主体(複数あればすべて)を教えてください。また、許認可の判断基準となる法令等を教えてください。

  44. ILCに適用される法令や許認可の主体は、今後、ILCの詳細な設計がなされ、より具体的な検討が進む中で、明らかになります。
    ILC整備に関わる法令としては、森林法、自然公園法、自然環境保全法、農地法、都市計画法、都市公園法、文化財保護法、河川法、砂防法、地すべり等防止法、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、土壌汚染対策法、高圧ガス保安法、廃棄物処理法、放射線障害防止法、環境基本法、消防法、下水道法、水道法、建築基準法などが想定されます。

  45. 建設申請から許認可にいたる手続フローを規定する法令等を教えてください。

  46. 回答22のとおり、現時点では未定です。

  47. ILC建設を許認可するまでのプロセスで、各自治体および行政区の意思や意見がどのように反映されるか教えてください。

  48. プロセスは未定ですが、ILCの建設にあたっては、自治体等の意見が反映されるよう努めてまいります。



以上